《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 ルミナミエは、恐ろしい事実にぶつかった。


 このまま、エクシリオンへの思いを募らせていったら、大変なことになる。

 でも、恋を止める薬、魔法はない。

 当たり前の話だが。


 ルミナミエは、苦しくなった。

 心臓が締め付けられる。

 頭が痛くなる。

 涙が出てきた。

 “天才医者”としてのプライドが重くのしかかる。


――あぁ、もう。どうすれば、いいの?――

 道に迷い、困り果てた幼い子のように泣いていた。

 恋したい気持ちと、決まりと、プライドの三重の苦しみがルミナミエを襲いかかる。

 
――逃げたい、逃げたい。――

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