《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 思いは一つだった。


――患者さんを死なせるわけにはいかない。――

 ぐらぐら激しく揺れても、体勢をなんとか保って、壁、天井を支えている。

 一秒二秒が、一分二分、いやそれ以上に感じる。

 
「きゃぁ~~。」
「いやぁ~。」

 患者の悲鳴が、次々と聞こえる。

 ルミナミエたちは、悲鳴にかくまっている場合じゃなかった。

 揺れるたびに、心臓の鼓動が増えていく。

 支えている手が、震える。

 それでも、見つめる先は変わっていなかった。

 天井。

 天井をただひたすら・・・


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