《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
「シオン、そっち終わった。」
「もう少し待って。」

 ルミナミエは、天井が落ちているところを見た。

 なんとか、薬や道具を取り出すことができないのかっと一瞬思った。

 ルミナミエは、地震に関する記憶をたどった。

 テオン王国では、地震は珍しい。

 ルミナミエが二歳の時に一回、小さな地震が起こった程度。

 大きな地震なんて、学校の歴史の教科書でさえも見当たらない。


――地震って、こんなに恐ろしいものだったんだ。――

 大好きな街、大好きな国、そして人々や動物の命を、一瞬で破壊する地震に、ここにきて恐怖感を覚えた。

 もしも、この地震で・・・っと思うと、ルミナミエはもう二度と立てなくなるぐらい悲しんでいたのだろう。


「ルナ、ルナ。」

 遠くから、メルキラリの声が聞こえる。

「何、メル。」

「はぁはぁはぁ。」

 メルキラリはひたすら走っている。

 
< 42 / 222 >

この作品をシェア

pagetop