《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 ルミナミエが、何かに刺激されたように瞼を開けた。


「シオン、麻酔。」

 その声は、落ち着いているものの、力がこもっていた。

「はい。」

 エクシリオンが麻酔を打った。
 一国の姫とは言えど、ためらうことなく打った。

 そのあとじっと見つめ、機械の値を見る。

 ぴりりりりっ~♪

「ラテビッタン(麻酔効いた)。」
「リタ(手術開始)。」

 ルミナミエのこの声を合図に手術が始まった。

 まずは出血を止める手術だ。

 麻酔で植物状態に陥らせているのだが、出血は止まらない。

 ルミナミエは足に巻かれている包帯をほどき、出血状況を確認する。

 エクシリオンは、ルミナミエが立っている位置から、ベッドを挟んで向こう側から、状況を見た。 

 しばらく見た後、

「これはひどいな。」

 こうルミナミエはつぶやいた。


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