《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 頭蓋骨のヒビをくっつける手術だ。

 ルミナミエはミュウエノアの顔の方へ視線を移した。

 ミュウエノアの顔は、安らかに眠ってもなく、苦しく眠っていない。

 無表情に眠っていた。

 ルミナミエはそんな表情に気にも留めず、ただ淡々と準備をしていた。

 ルミナミエの動きに焦りはなかった。


「ルナ、できたぞ。」
「分かった。」

 二人はミュウエノアの頭へ視線を移した。

「リタ・エ(再び手術開始)」

 二人以外の人の顔は、再び真顔になった。

 止血成功に安堵している暇はなかった。

 中には、看護師同士手を握っている者もいる。


――ミュウ姫様。――

 思う人はただ一人だった。



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