《完》17歳の医者 ~天才医者は助手に恋した~
 しかし、中は真っ暗とまではいかないが、暗い。

 その中で、レーキっと言う葉っぱに火をつけて(いわいるロウソクみたいなもの)明かりにしている。

 あくまでも、これは非常用だ。

 レーキの灯はゆっくりゆっくり燃えている。
 じっと見ていると、ふと不吉な予感がしてきそうだ。


――ミュウ姫様は、もう・・・。――

 レーキのほのかな灯に照らされている、ミュウエノアの顔は、何事もなかったように眠っている。

 これが城を抜け出して、帰ってきたときだったらいいのになっと、ルミナミエはつい思った。

 ほんの少しの淡い期待は、すぐに消えてしまう。
 息を吹きかけられたように。

 ルミナミエとエクシリオン、お互いにかける声がない。

 いや、それどころじゃない。

 お互いにとって一番つらい時。それを乗り越えなければいけないのだが・・・。

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