天龍Ⅰ
ついさっきまで眺めていた中庭に到着し、ベンチに腰掛けた。
中庭には生徒は1人もおらず、静かな時間が流れていた。
「そういえばさ、ななはあの事件、知ってる?」
卵焼きを口に入れようとしていた時、亜衣からそんな質問をされ、卵焼きを掴んでいる箸を下ろした。
「じ、事件?」
な、なにそれ。
全く亜衣のいっている事が理解できなくてきょとんとしていると
「やっぱ知らなかったか」
「…ハィ。教えて下さいませ」