恋した季節
第一章 (ありえない。)
~美月SAID~

「ふぅ・・今日も塾か。」

重いため息をつく私。

柴田美月、高校3年生。

(勉強は・・嫌い。)

あと1年で受験を控えた年だからこそ、苦労してる。

”大学進学”という厄介な奴。

朝出かける前に、ママから言われた一言。

「美月、塾でも学校でもテスト1位になったんですって?」

(はっ?だから・・?)

「この調子で、頑張んなさいよ!!ママ応援してるから。」

(この調子?それを守るのが私にとって苦痛なの。)

心の中で反抗しながらも呟いた。「うん。」

でも、なるべく1位はとりたくなかった。

普通の人なら、「良いなぁ。頭良くて・・」

そんな風に言うのかもしれない。

でも・・1位になったからってそれで終る訳にいかない。

必ず1位になると言われる。

「この調子で頑張れ」とか、「その調子!その調子!」とか。

1位をキープするのがどれだけ大変かって事。

きっと普通の奴らにはわからない。

ここんところ、すごくストレスが溜まっているんだ。
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