恋した季節
「優、こんなとこで何してんだ?」

同じ仲間の学(マナブ)が声をかけてきた。

さっきまであの女のことをボーッと考えてた俺。

学の声で目が覚めた。

一つだけ分かった事、(俺にあの女は無理だ)って事。

何人もの女を泣かせてきた俺に、一人の女を愛すことはきっと無理だろう。

今までこんなに深いことは考えてもなかったと思う。

「悪ぃ。ちょっと一人でボーッとしてた。」

俺はそう呟いた。

「ふぅん、そっか。そうだ、美加怒ってたぞ?」

「は?何でだよ。」

一人の女を考えているのにまたうぜぇ奴が入り込んでくる。

「何かさぁ、また他の女とヤッたのかってキレてたぞ。」

勝手にキレれば良い、俺は最低なんだから・・。

「あっそ・・・・」

「お前さ、そろそろ本気の恋したら・・?」

その言葉が、俺の胸にぐさっと刺さった。

分かっている、今俺は本気の恋をしている。

でも、どうせ叶わない。一度も話した事も無い。

それでも人は、俺に「頑張れ」と伝えるのだろうか?

頑張っている、頑張っているけど・・無理なんだ。
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