ブラッツ
着いた先と出来事
「は?」
少年は目をパチパチと何度も繰り返す。
目の前の現実を理解できない男が一人、ここにいる。
「な…なにここ」
「しょうがないでしょ。ここしか近くになかったんだから」
少女は真顔で少年を睨む。
お前のせいだろ?とでも言いたそうな顔で。
確かに。
ここら辺にホテルなんてないだろう。
目の前は広がる、真っ黒な海。
カップルの為に作られた、と言っても嘘じゃないだろう。
「眠気ぐらい我慢しろっつーの」
ブツブツ言いながらホテルに入って行く。
少年は立ち止まったまま。
身動き一つしようとしない。
いや、できないと行っておこう。
…しょうがないと思う。
だって目の前のホテル、世間にいう〝ラブホ〟ってやつなんだもんさ。
「なに?行かないの?海行く?」
少女は顔だけを少年に向ける。
ちょっと怒ってるっぽい。
…ってかこの女、本当に高校生か?
こんなところ…普通に入って行けるわけ?!