ブラッツ




「早くやってよ」

少女はぐるんと振り向く。


「あ?ああぁ…うん」



少年は静かに受付を済ました。


うぅ…

めっちゃ悲しい…


なぜだか、涙が零れてきそうだった。



そんな少年と少女、

ただいま2人で(当たり前)エレベーターで部屋に向かい中。

なんと10階。

この女が高いところの方がいいんだって。


少年はう゛ーと唸り中。

なんてたってカードに入ってる金に驚いた。


ありゃあないぜ。



そんなカードを持ってる俺って…



只今、絶賛金持ち中?!



なんてキラキラ目を輝かせてるのもつかの間、

「カード返して」


横からの少女の声で現実に引き戻される少年。


「あ…うん…」

なんてあっさりと返す。




チーン、と豪華そうなお知らせチャイム。

物音一つしないでエレベーターのドアが開いた。





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