ブラッツ



少年は右手で銃を持ち、少女へと駆け出す。

その勢いで少女をベットに押し倒し、心臓に銃を突きつけた。


カチと引き金を引く音が異常なほど響く。




「恐くねぇのかよ?」


少年は少女の上で四つん這いになる。

銃は心臓にくっ付けたまま。


少女は小さく笑い、

「ぜんぜん。恐くなんてないよ」

歌うように告げる。

そして再び目を瞑る。



「…頭おかしいんじゃねぇの?」

少年はグググと銃を少女の胸に押し付ける。


「俺だってやろうとすればできるぜ?今、ここで!」

ダンッと左手で布団を殴る。



ムカついた。

なんでこの女はこんなに冷静なんだろうって。

なんでこんなにも〝死ぬ〟ことが恐くないんだろうって。


謎だった。

意味が分からない。




分からなすぎで、

ムカついた。




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