君と煙草と僕の夢
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いい夢を見たと思った。俺は教師の仕事をしていなくて、というか仕事をしていなくて、ここに里歌をかくまったりもしていない。どこから金が湧いてくるのかは知らないが、夢の中の俺は、毎日悠々自適の生活を送っていた。
目が覚めたら隣に寝ていたはずの里歌はいなくて、外は雨が降っていた。
キッチンへ向かい時計を見ると、午後12時半。里歌はいつものようにホットミルクとパンケーキを食べたはずだが、使ったマグカップやフライパン、皿などは全部綺麗に洗われて元の場所に戻されていた。
あまり食欲が無かったので、朝食は省いた。代わりにコーヒーを淹れて飲んだ。
里歌はおそらく、バイトにでも行ったのだろう。ちょうど良かった。今日は俺にも予定がある。
コーヒーを飲んでいると、テーブルに置いてあったケータイが震えた。開くと、メールがきていた。
今から会う友人からの、催促のメール。寝起きのぼうっとした頭で、今日会う時間の約束は11時だったなと、ぼんやりと思った。
すぐに行くからと返信をしたあと、ケータイをテーブルに戻すと、一枚のメモ紙が置いてあるのに気づく。
『先生おはよう。私はバイトに行ってきます。12時半には戻ります。あと、ちゃんと朝ごはん食べなきゃダメだよ。』