君と煙草と僕の夢


☆☆☆


耳鳴りがした。


一瞬、周りの音が遠くなる。そして、耳障りのキーンという音。


頭が痛くなる。気分が、抑鬱的になる。


バイトの途中だったので、すごく気分が悪くなった。こめかみを押さえながら、私はビル清掃を続ける。



「……」



ビシャビシャ



「……」



キュッキュッ



掃除の音が耳につく。……具合が悪い。早く終わして帰りたい。



ガシャン



水の入ったバケツを倒してしまった。汚れが溜まった、茶色い汚水。


私はうんざりしながら、重い身体を動かして、それを拭き始めた。



「おい、何やってんだ」



先輩の声。汚水をぶちまけたのを見られてしまったようだ。



「すみません。少しぼうっとしていて。すぐに片付けます」

「そうしろ。次やったら、減給くらうぞ」

「…はい。気をつけます」



語気を強めて言いたいことを言うと、佐々木さんは自分の仕事に戻った。


目の前の汚水を前に、私は放心する。



「……」



疲れた。
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