一粒の涙。~原因は君。~
でも、ある日を境に私は少しずつ好きになっていった。
嫌いだった学校も毎日通うようになった。
嫌いだった街中も普通に通れるようになった。
嫌いだった教室の雑音も慣れていけるようになった。
“ある日”を境にして、私の人生を変えた。
「転入生の酒井くんです」
先生の紹介で入ってきたのは、背の高い茶髪の男の子だった。
クラスの女子は悲鳴のように声を上げた。
はぁ...もっと五月蠅くなりそう。
私はため息をついて頬杖をついた。
ひとり隅の席。
それがなんだか落ち着いた。
「じゃあ、空いてる席に酒井くん。座ってくれるかな」
「ハイ」
低い声が教室に渡った。
え......?
隣の席が唯一空いているのは、
「ここ...ですか」
私の席の隣だった。