儚くて。


彼の名は大窪銀(オオクボギン)。
この学年の中でも重宝される“イケメン”の部類に入る男で、
かなり面食いなあたしは話したこともないのにいつの間にか彼を目で追っていることが多かった。



何でも話していた胡桃にも何故か言えず、そろそろ相談しようかと思った時だった。



『あの、さ…
 彼氏…出来た』



胡桃がそのことを言ったのは。


胡桃は遠慮がちにあたしに告白した。
相手が大窪銀だということ。
入学当初から好きだったこと。



あたしはすぐにこう答えた。



『おめでとう!
 よかったねー、胡桃』



……あの時、
上手く笑えていたかな。
< 4 / 9 >

この作品をシェア

pagetop