儚くて。
「席替えすんぞー!」
暖かい空気でぼんやりと考えていたせいか、いつの間にやらHRが始まっていて先生の声が耳をつんざく。
あの後胡桃と何をやりとりしたのかも覚えていない頭は、相当疲れていると思った。
―――
クラスメイト達が次々と教卓の上にある箱の中から小さな紙切れを取っていくのを見て、あたしも列に並び紙切れを探り出す。
右手の人差し指と中指に挟まれた紙切れに書かれた番号を確認して、どの席か数えていくと窓際の一番後ろという最高のポジションだった。
薄く笑みを浮かべ、その席へと移動する。
床と机の足の部分がこすれ合う音が耳障りだったけど、冬の暖かな日光が当たっているせいか早速机に突っ伏した。
目を閉じ、意識が朦朧してきたとき……
隣でこつんと机がぶつかる音がしたけど、気にしなかった。