儚くて。
すうっと、どこからか吹く冷ややかな風が足元を通っていったせいで目が覚めた。
前の方からぼそぼそと先生の声も聞こえる。
うわ、寝ちゃった……
欠伸をしながら起き上がり、目を擦っていると微かに甘い香水の香りが鼻を通った。
嫌いじゃないな、なんて思いつつ隣へ目をやると。
……え!?
ただ、その言葉しか頭に思い浮かばない。
他は…なんだろ。
嘘!? とか?
あたしがじっと見ているせいか、隣にいる彼は手を止めてあたしの方へ顔を向ける。
何?
とでも言いたそうな表情。
あたしだって言いたいから。
何で貴方が隣?
大窪銀。