女王様と王子様
「あとは女子の委員長なんだけど、誰かやってくれる人いないかな」
バッ
そんな音が出そうなくらい勢いのある女子達の挙手。
挙げないのは私と気の弱い女子くらいだった。
藤臣は苦笑しながら「困ったな…」と呟く。
そして、何を思ったか私を見て微笑んだ。
…は?何見てんのよ。
『……!』
まさか。
まさか私に女子の委員長をやれと言うのか。
冗談じゃない。そんな教師のパシリみたいなこと誰がやるものか。
私のプライドが許さない。
『…………』
しかし、これを無視すれば乙ゲーのことをバラされるかもしれない。
藤臣に秘密を握られている時点で、私に拒否権はないのだ。
それによく考えて透子。委員長になれば藤臣と一緒にいる時間が長くなる(不可抗力)。
何か弱味を見つけられるかもしれない。
『………』
ガタッ
席を立つと同時にクラスメイトの視線が集中する。
『私がやるわ。…何か文句ある?』
ゆっくり下がる女子達の手。
「よろしく、山本さん」
白々しく言う藤臣に苛立ちは隠せない。