女王様と王子様



──────…



その後、全クラスは何事もなく集合し、バスで学校へ戻った。
学校に戻ってからはすぐに解散になって、私は誰とも話さず家路につこうとした。

ら、


「山本さん、これ」


藤臣が差し出したビニール袋。
さっきまでいた水族館のオリキャラがプリントされたそれ。
いきなり渡されたので無意識に受け取ってしまった。


『何これ』


中を見ると正方形の箱が入っていた。
商品名を見ると“スノードーム”と確かに書いてある。


「欲しそうだったから。今日話を聞いてくれたお礼」

『こんなもの、いつの間に…』

「みんながバスに乗ってる間にね。“忘れ物した”って言ったらまた入れてくれたんだ」


そういえば、藤臣は1人だけ遅れてバスに乗っていた気がする。
……なんて奴だ。どこまで好青年なのよ。
っていうかあり得ないし。何で話を聞いただけでこんなこと…


『悪いけど、貰えないわ』

「…?」

『これ、私の趣味じゃないの』

「……そっか、残念。じゃあ今度別のものを…」


って、何でそうなるのよ!!
律儀にもほどがあるでしょ!


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