女王様と王子様
「山本さんって…どんな人なのかな」
昼休み、クラスの友達に聞いてみた。
ら、驚いた顔をされた。
「山本さん?」
「なんだよ藤臣!山本さん狙いかよ!」
「そういうわけじゃ…」
「やめとけやめとけ!いくら藤臣でも山本さんはハードル高ぇよ」
僕の否定の言葉なんて聞きやしない。
笑いながら手を振る友達にため息が出た。
─────…
1日の授業が終了して、部室に向かう途中。
「付き合ってほしいんだ」
『無理です』
ちょうど角を曲がろうとすると、男女の声が聞こえた。
盗み聞きする趣味はないが、部室にはこの道を通らなければならない。
「好きな奴でもいるの?」
『いませんけど』
女子の言葉遣いからして相手は先輩らしい。
「山本、俺は本気なんだ」
山本?山本ってあの山本さん?
立ち去ろうとした足を止める。
『…しつこい』
「え?」
『しつこいっつってんのよ。断ってるんだから潔く諦めたらどう?』
「なっ!」
『私と付き合いたいなんてよく言えたもんだわ。先輩だからって調子に乗らないで』
足音がこっちに近づいてくる。
僕は咄嗟に逃げることも出来ず、山本さんと鉢合わせしてしまった。
『何あんた』
「…………」
色素の薄い肌と長い髪。
二重の大きな瞳は、僕を睨むようにして見た。
「ごめん、盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど」
『…別に』
どこぞの女優顔負けのセリフを吐き捨てると、山本さんはそのまま立ち去ってしまった。
─────…
それから、彼女の噂は聞かなくても耳に入るようになった。
美人だが高飛車で人を全く寄せ付けない。文句を言おうものなら、容赦なく刃を向けられる。
その有り様はまるで女王様ようだと。
昼休み、クラスの友達に聞いてみた。
ら、驚いた顔をされた。
「山本さん?」
「なんだよ藤臣!山本さん狙いかよ!」
「そういうわけじゃ…」
「やめとけやめとけ!いくら藤臣でも山本さんはハードル高ぇよ」
僕の否定の言葉なんて聞きやしない。
笑いながら手を振る友達にため息が出た。
─────…
1日の授業が終了して、部室に向かう途中。
「付き合ってほしいんだ」
『無理です』
ちょうど角を曲がろうとすると、男女の声が聞こえた。
盗み聞きする趣味はないが、部室にはこの道を通らなければならない。
「好きな奴でもいるの?」
『いませんけど』
女子の言葉遣いからして相手は先輩らしい。
「山本、俺は本気なんだ」
山本?山本ってあの山本さん?
立ち去ろうとした足を止める。
『…しつこい』
「え?」
『しつこいっつってんのよ。断ってるんだから潔く諦めたらどう?』
「なっ!」
『私と付き合いたいなんてよく言えたもんだわ。先輩だからって調子に乗らないで』
足音がこっちに近づいてくる。
僕は咄嗟に逃げることも出来ず、山本さんと鉢合わせしてしまった。
『何あんた』
「…………」
色素の薄い肌と長い髪。
二重の大きな瞳は、僕を睨むようにして見た。
「ごめん、盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど」
『…別に』
どこぞの女優顔負けのセリフを吐き捨てると、山本さんはそのまま立ち去ってしまった。
─────…
それから、彼女の噂は聞かなくても耳に入るようになった。
美人だが高飛車で人を全く寄せ付けない。文句を言おうものなら、容赦なく刃を向けられる。
その有り様はまるで女王様ようだと。