女王様と王子様
『だけど、言わせてもらうわ』


私はマスカラをバン!と机に叩きつけてギャルの1人を睨んだ。


『あんたには、この私が、こんなもん必要な顔に見えるわけ?』

「な、」

『その書きまくった目でちゃんと見なさい。この私が!マスカラなんて必要な睫毛してるかってことよ!』


ギャル4人は明らかに怯んでいた。

馬鹿にするのも大概にしてほしい。私は生まれてこの方 化粧をしたことがない。
化粧品を買うくらいなら新しいゲームを買う資金にしたい。誰にも言えないけど。


『あんたもさ、見返りに一緒にいてもらって、嬉しい?』

「…っ…!」

「何なの!?」

「マジ意味分かんないし」

「あー、もういいじゃん。放っておこうよ。何かめんどくさい」

「だね。次移動だよ。行こ」

「あ、私も「ついて来ないでよ」


沢田が教室出ていく4人の後ろを追おうとすると、すぐさま聞こえた制止の声。


「え?」

「前々から思ってたけど、鬱陶しいんだよね」

「そんな…」


うろたえる沢田をよそに、4人は教室を出ていった。
残された私と沢田。

…本当に面倒なことになってしまった。
これで泣かれたらどうしよう。いやどうもしないけど。


「……─して、」

『え?』

「どうしてあんなこと言うの!?」
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