女王様と王子様
『何でって、私は思ったことを言っただけ』

「ひ、ひどい…」


涙ぐんだ声と瞳。

ひどい?私が?
……何でそうなる。


『ひどいのはあっちでしょ?あんたは利用されてただけで「知ってる!」

『…?』

「知ってますよ、そんなこと」

『…なら、』

「だけど、だけどそれでも必要だったんです!」


普段の彼女からは考えられないくらい大きな声。
といっても、普段の彼女なんてこれっぽっちも知らない。
彼女がどれだけ“友達”を必要としていたかも。


「私には居場所がいるんです。私を見てくれて、私を必要としてくれる人が…」

『あの子達はあんたを見てたんじゃない。…分かるでしょ?』

「…っ…」

『ただパシりが欲しかっただけよ。都合よく動く、ね』

「…山本さんには…分かりません…!」


沢田の拳が力強く握られる。


「美人で、何でももってるような山本さんには…
…私の気持ちなんて分かりません!!!」

『あ、ちょっと…!』


まるでドラマのワンシーン。
沢田はそう叫んで教室を飛び出した。
そして、それと同時に授業開始のチャイムが鳴った。


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