女王様と王子様
────…
《トウコ、どうかしたのかい?悩みがあるなら聞くよ》
▽相談する ▽相談しない
『タクミ…』
液晶の向こう側で、タクミが優し気な目で私を見た。思わずテレビを抱きしめそうになってしまった。
今日は散々だった。
マスカラ代は返してもらえないわ、悪者にされるわ、結局体育は遅刻するわ…
これだから他人に関わるのは嫌なのよ。
…思い通りになることなんて、何一つ無い。
─美人で何でももってるような山本さんには…─
分からないわよ。分かりたくもない。
そこまでして人との関係が必要?そこまでしなきゃ得られないものって何なの?
私の学年二位の思考を凝らして考えたが、全く見当がつかなかった。
『…ま、どうでもいいけど』
私は"相談しない"のコマンドを選び、決定のボタンを押した。