女王様と王子様
「姉ちゃん」

『どうしたの?』


早速プレイしようと、ゲーム機の線を繋いでいると、潤が襖を開けて覗いてきた。

何よもう!いくら潤でも邪魔したら許さないわよ!


「姉ちゃん美人でモテるんだから、そんなのしなくてもいいんじゃねーの?」


もっともな意見だ。
もし世界中の人間がこの密かな私の趣味を知ったら皆がそう言うだろう。


『私を落とせる男なんてこの世に存在すると思う?』



約17年間生きてきて、言い寄ってくる男はそれこそ沢山いた。しかし、私に似合った男なんて誰一人いなかった。
誰から告白されても何とも思わなかった。
恋に憧れているわけじゃない。だが興味はあった。


「だからってなんで乙女ゲームなわけ?」

『こんな的確かつ合理的に疑似恋愛が出来るものは他にないもの』

「姉ちゃんがこんなのにハマってるって知ったら、学校の奴等 何て言うかな」

『…潤、あんた まさか裏切る気じゃ…』

「誰が言えるかよ 実の姉が乙ゲーやってるなんて!」


…それもそうよね。
私が逆の立場なら絶対言えないわ。


「てか、姉ちゃん前言ってたじゃん」

『…?』

「学校で何でもこなす凄い奴がいるって。何だっけ…ふじおみ…ナントカ。そいつじゃ駄目なの?」


またアイツの話…!
今日 何回すれば気が済むのよ!


『やつは論外よ論外!誰にでもいい格好して腹立つの!』

「ヒガミかよ」

『私がひがむわけないでしょ!ただ何の苦労もしないで偉そうにしてるのが気に食わないだけ!』


私忙しいから!と潤を無理矢理 部屋から出して、スパン!と襖を勢いよく閉めた。



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