女王様と王子様



─────…


翌日。
何事もなく、今日の授業は残すところホームルームだけになった。
昼休みも別に変わったことなんてなかった。
藤臣はいつも通り、友人達に囲まれて楽しそうにしている。

こっちはいつ藤臣が喋るか気が気じゃないってのに!
これじゃ蛇の生殺し状態だ。もしかして卒業するまでこんな気を遣わなきゃなんないの!?
……いいわ。それなら私にだって考えがある。
藤臣にだって、秘密の一つや二つあるはずだ。それを暴いてみせる。
完璧な好青年なんているはずないんだから。

そんなことを悶々考えていると、担任が教室に入ってきた。


「今回のホームルームはクラス役員を決めるぞ」


この担任が昨日 藤臣にあんなこと頼まなけりゃこんなことにはならなかったのよね。
一年間恨み続けてやる。


「とりあえず委員長だけでも今日中に決めたいんだが、誰かやりたい奴いないかー?」


そんな私の気持ちも知らず、生徒を促す担任。
委員長なんて一番パシられそうな役員誰が進んでするものか。
きっとクラス全員がそう思っている。


が、


「じゃあ、僕やります」

「藤臣か。お前になら任せられるな。よろしく頼む」


王子様は民衆が困っているとすぐに助けてくれるらしい。
さっきまでシーンとしていた教室が女子達の歓声と拍手で賑わった。
藤臣は席から離れて教室の前に立つ。


「今日からクラスをまとめることになりました、藤臣棗です。よろしく」


どんだけ目立てば気が済むんだ、こいつは。


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