勿 忘 草 ー記憶喪失の恋ー【上】


おばさんはあたしの肩を掴んで揺らした。


「絆奈さん!しっかりして!」


「桜小路さん、冷静になってください!」


「絆奈さん!絆奈さん!」


「あたしの名前は絆奈なの?」


「絆奈さん!いい加減にしてちょうだい!」


「ごめんなさい…本当に分からないんです…ごめんなさい…」


「絆奈さん!思い出して!」


「嫌!おばさん離して!」


おばさんはあたしの肩や頬を叩いた。


「痛い!」

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