勿 忘 草 ー記憶喪失の恋ー【上】
やっぱり…
婚約者なのに他の人とキスしちゃったから怒ってるのかなぁ…
正門に二台の車が停まっていた。
黒いベンツと白いロールスロイス。
それぞれ別の車に乗った。
「絆奈お嬢様、日本の高校はいかがでしたか?」
「…楽しかった…疲れちゃったけど…」
「そうですか…そのうち慣れますよ。」
「だといいけど。」
加堂はあたしに気を遣ってくれて、何も言わずに御屋敷まで送ってくれた。
「ありがとう、加堂。」