あの足があがるまでに
出会い
俺は今日、この中学校に入学した。

中学入学と共に母とかわした約束・・・

「中学校では自分の好きなことをとことん上達させる」

簡単かもしれない。でも俺にとってはとても重い、病弱だった母と最後にかわした約束だった。


入学式も終わり、クラスに入り担任のありきたりな話を聞く。なんてつまらない。
丁度俺の席は窓際で、日差しのよく当たるぽかぽかとした明るいところだった。

さすがにこのまま話を聞き続けるのは限界だ、と俺の直感が告げた時、ふと校庭のグラウンドを走るひとつの人影が目に入った。

この時は、なぜこの時間にグラウンドを走っているのか、などと疑問にも思わずただその人影をながめていた。

よく見たらその人影は小柄な少女で、１周２００メートルのトラックをとてつもないスピードでぐるぐると走り続けている。
もともと自分は走ることはあまり好きではないが、のびのびと走っている彼女をみていると、このまま席に座っているのは無理というものだった。

もう、その時に俺は席を立ちあがり教室をでていた。



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