あの足があがるまでに
次の日。いつも学校まで30分歩いている。とくに苦痛だとかは思ったことがなかったのだが・・・。

昨日の激しい練習のせいで俺は筋肉痛だった。ふくらはぎ、腹筋などが痛い。だけど沙良にこんなみっともない姿を見せたくなかったので我慢した。

けれど歩きはじめて20分くらいたった頃、俺の足の痛みもついにピークに達した。痛さに我慢できず、見知らぬ人の家の前にぺたりと座りこんでしまった。

その前を通りすがる2年や3年の先輩たちは俺を避けて歩く。どうして目の前に倒れてる人がいるのに誰ひとり助けないんだろう・・などと思ったが、時が経つにつれてどうでもよくなった。

そこで後ろでいきなりガチャリという音。すごく嫌な予感がするのは気のせいだろうか。

普通に考えると、今のはドアの音ではないか・・・・?

俺はどうなるんだ・・・・・?

そんな心配をしている俺の後ろで声がした。




「ぼく?・・・・大丈夫?」




女の人の声だ。すごくきれいで透き通ったような声。そこでうしろを振り向いてみた。

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