あの足があがるまでに

その日から優哉さんの猛レッスンがはじまった。いつものランニングが20キロに増え、他の練習も倍くらい増えた。

最初の一日目は俺も沙良もバテてしまったけど、いくらかたつと慣れてきた。



そして当日。

大勢の人が集まっている中、俺たちはエントリーシートを提出し準備体操を行なっているところだった。陸上部が、俺たちのもとにやってきた。

「よお、短長そーぶっ」


なんだか、すごく喧嘩腰で話しかけられている気がする。沙良も優哉さんもイラッとした表情で無言でみつめていた。

「お前らもでるんだろ?そんな安っぽいユニフォームで走りきれんのかねぇ?」

「あはは、無理だろうな」

「俺たちの方がもっと前から練習してたもんな!」

「それに?水野大輔とか言う奴は?クラスでも一番位のエリートだそうじゃないか。」


エリートは走れないって決まってないだろ。そう言おうと思ったけど優哉さんがとめた。


「陸上部だな?お前たち。いい加減準備体操とかやりなよ。そんなんでこんな寒い中走ったらすぐ骨が折れちまうよ。俺らをいびるのは勝手だけどさ、それで君たちの大事な足を台無しにしちゃっていいのか?そこんとこよく考えてみろよ?」

「・・・・・っ」



陸上部はなにか言いたげな顔をして去って行った。それにしても優哉さんはカッコいいなぁと改めて思った。そしてちょっと足踏みをした時。



俺の右足に激痛がはしった。
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