あの足があがるまでに
担任の叫び声がうしろから追いかけてくる。でも、もう俺の脚は止まるはずがない。
階段を駆け下りて行くと次第に叫び声は追いかけてこなくなった。

昇降口を飛び出し、グラウンドへ向かう。


ドンッ


「・・・・・いたっ」
「・・ぃててて」

俺はあろうことか、走っていた少女にぶつかってしまった。

「・・誰。」

彼女はムスッとした顔で俺をにらんで来た。

「・・・・1年4組の、水野大輔・・です。」
「ふぅん・・・1年生なんだ。」

眺めている時は気付かなかったが今みたら彼女は制服だった。それも、ピンクの花をつけたまま。

「あたしも1年生なの。1年3組の河里沙良。・・あーあ。制服がぐちゃぐちゃ。」
「・・・ごめん。でもなんでこんな時間に走っているのさ」

こんなこと聞くつもりもなかったけど聞いた。そして彼女は少し黙り、

「・・・こんな広い校庭、今すぐにでも走りたかったから・・・。」

そこへ3人位の先生たちが駆けつけてきた。とっさに俺は彼女の手をとり、

「早く逃げるぞ!お前の足なら逃げられるだろ!?」と叫んでいた。


「・・・・当たり前!!」



俺らは最速のスピードで校門を駆け抜けた・・・。
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