あの足があがるまでに
輝き
土壇場で逃げた後、2人はそのまま別れ家に帰って行った。

家に帰る俺。ドアを開けてもカーテンは閉めきりで「おかえり」のひとことすらない。
でもこれはいつもの事。俺の親父は夜勤だから、昼間から夕方までずっと寝たきりなのだった。
だから休日も一緒にゲームすらやってくれないし、ご飯だって自分で作る。親父いわく、家庭的な男になるのもいいだろうということらしい。まったく、そんなの言い訳に過ぎないのに。

時計を見ると、まだ朝の10時半。そうだ、俺は学校を抜け出してきたんだ・・・。
本当に本当に今更なのだが、入学初日に学校を抜け出してきたことをとても後悔した。あの河里さんは親に怒られてはいないだろうか、先生に捕まって怒られていないだろうか。自分のとっさの判断の行動に今更、後悔した。

トゥルルルル


電話だ。すごく嫌な予感がするのはなぜだろうか・・・。とりあえずでてみる。

「はい・・・・もしもし、水野ですが。」

「○○中学の小林と言いますが、大輔君はいらっしゃいますか。」


もしものために低めの声ででたので、俺だということに気付いてないのだろう。ちなみに小林というのは俺の担任で、とにかくありきたりな話をくどくどと話すやつだった。


「・・・・・・」

「・・・もしもし?大輔君はいらっしゃいますか?」


なんて答えよう・・・・。いないと言ったら警察に電話してしまうのではないか?でもいると言ったら絶対にあの馬鹿でかい声でありきたりな説教をされる。どうしたらいいんだ俺は・・・・・!


「・・・・・」

「もしかして、お前大輔か?・・・大輔なのか?」

「・・・・っ!?」



ガシャッ


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