あの足があがるまでに
びっくりして受話器を床に落としてしまった。なんで分かるんだあの野郎は。電話を切ってしまおうか・・・でも切ったら明日、面と向かって説教か・・・。面倒だな・・・。

「?!・・・もしもし!もしもしっっ!?」

耳が割れるほどの大声が受話器の向こうから聞こえてくる。なんてやかましいやつなんだ。

「・・・・・も・し・も・し!!!!!」

こちらからもありったけの大声で返してやった。親父が起きてしまわないかと一瞬心配になったが、その本人はいびきをかいてごぉごぉと寝ていた。

「・・・・っ!うるさいんだお前は!電話の使い方を知らないのか!」

「うるさいのはそっちだあほたれ!」

「あっあほたれだと・・・!?っと、とにかく!お前、大輔だな?」

「当たり前だ!」

「なんで逃げたんだお前は!入学初日に抜け出すなんて、恥ずかしいと思わないのか!」

「恥ずかしい訳ねぇっ!」

「しかも、成績優秀な天才のあの子までも連れて・・」




ん・・・・?成績優秀?天才?あの子?・・・・あの子とは河里沙良さんのことではないだろうか・・・・・!?


「そ、それは!河里っ・・沙良・・・の事か?!」

「ああ、そうだよ!」


なにぃーーーっ!?

あっあの子はそんなにお偉いお方だったのか!そうとも知らずに俺はあの方になんてことをしたんだ・・・・・!!

今そう考えると冷や汗がたらたらとにじみ出てくる。あの時は自分が逃げるのに精いっぱいだったから、俺があの方を巻き込んだと言ってもおかしくはない。
俺はあの時、とんでもないことをしてしまったのではないか!?


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