あの足があがるまでに
「・・・・・・なにーっ!!」

「なな、なんなんだお前・・・・・」

「もしかして俺はとんでもないことをしちゃったのか・・・・!?」

「ああ、そのことなら気にするな。あ、気にした方がいいかな少しは。先ほど向こうのほうにも電話して保護者の方とも話したのだが、それほど気にかけてはないらしい。なにしろ、河里自体がはじめに抜け出してグラウンドで走っていたのだからな。走るのが大好きで、ついついああいう所を見ると走りたくなってしまうらしいんだ、はっはっは。子供は元気だなぁ」



電話の向こうで陽気に笑う小林。そうだ、よくよく考えればあの河里さんが走っているのを見て走りたくなってしまったんだった。そんなことを考えていると不意にも笑ってしまった。


「・・・・あは。あははっ・・・・はははははっっ」

「お前もつられちゃったんだろ?っはっはっは!」

「まぁ、そんなところです、あははははっ!はははっ」

「俺の話無視してグラウンドずっと眺めてたもんな!うっはっは!」

「しっ・・・知ってたんですか!」

「そりゃあ、あんなに席から身をのりだして見てたらねぇ・・・ははは」

「そそ、そんなに・・・・」

「っま、とりあえず明日は2人とも説教だからな!」

「えーそこは子供の元気なところと見てくださいよー」

「残念ながらそれはならないんだな、ははは。それじゃあな」


ガチャッ


「ちーっ」


明日の説教は確定だ。つい、電話が切られたと同時に舌打ちをしてしまった。


でも、なんとなくすがすがしい気分だった。
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