せんせいのせなか
「しょうがない先生ですね…」
「うるさい」
そう言った先生は、望遠鏡に手をかけた。
「あ、そうだ。手伝ってくんね?」
「…なんであたしが!壊したの先生でしょうが」
「いーじゃん、ちょっと手伝ってくれればいいから!」
お願いっ、と手を顔の前で合わせた先生に向かって、ふぅ、とため息をした。
「…ちょっとだけですよ」
「おっ、さっすが『昴さん』だ」
ドキリと胸が鳴く。
(…名前、知ってたんだ……)
「こっち持って、」
「あ、はい」
ざわりと風が吹いた。
ひどく暖かく、心まで溶けそうなほど心地よい風。
小学生の頃からのばしていた髪がさらりと揺れる。
…そういえば、屋上来るの初めてだったっけ。
「…、お前、綺麗な顔してるな」
「っ、何ですか急に…!」
不意打ちをつかれ、とがった口調になる。