せんせいのせなか





つられて、あたしも柵に乗りかかる。



「…、ていうかさ、お前靴下のままだぞ」

「あっ。…本当だ。……はあ」



まあいいや、と投げやりになる。

柵の上に頬杖をついて下のグラウンドを見つめた。


走り込む陸上部とキャッチボールをしている野球部。

ボールパスを繰り替えすサッカー部。



「…楽しそう」



ふいにこぼれた。

こぼれた言葉を聞いたのか、先生は「青春だなー」とつぶやいた。



「いいよな、青春。俺ももう一回したい」

「ははっ…何言ってるんですか」



言葉の次は、笑みがこぼれた。

すると、先生は「おっ」と驚いた声を上げた。



「笑った!」


「……は?」



いきなりで、口をぽかんと開けて先生を見つめた。

オレンジに染まった先生はキラキラとした笑顔で言う。



「お前、学校じゃ全然笑わないんだから」

「…えっ?」



また、不意打ちをつかれる。


……そんなに、笑ってないの…?あたし。









< 12 / 21 >

この作品をシェア

pagetop