せんせいのせなか
幽霊部員
(まぁ、その『青春開花』が天文部に入部させられることとは思わなかったけど、)
内心で少しだけ愚痴を言う。
「香椎」
「っ、はい」
名前を呼ばれ、ドキリとした。
呼ばれた先に目をやると、先生がこちらを見つめていた。
また、ドキリと胸が鳴る。
「今日はもう終わろうか」
口角を上げて先生は笑うとその場から立ち上がって体を伸ばした。
「…分かりました」
(もう、終わりか…)
少しだけしょげていると、先生がふふっ、と笑った。
「そんなにしょげんなって。明日にまた、星見よう」
(星が見れなくて、しょげてるんじゃないんだけど…)
―――まぁいいや。
先生が、笑ってくれるだけで
嬉しいから。
「じゃあ、先生。 また明日」
「ん。また明日な」
少しだけ笑みを顔に残しながらあたしは屋上から出た。