せんせいのせなか
朝、目が覚めるとみそ汁の良いにおいがした。
(朝ごはんだ、)
少し寝ぼけたまま、階段を降りる。
「昴ちゃん、おはよう」
目尻にシワをよせて優しく笑うおばあちゃんに挨拶をする。
両親共々、仕事で忙しくほとんどを海外で過ごしている。
そのため高校生のあたしは、おばあちゃんと一緒に暮らすことになった。
なのでもちろん、朝ご飯も晩ご飯もおばあちゃんお手製だ。
「今日は遅いのね。遅刻じゃないの?」
「大丈夫。今日は高3の人たちが修学旅行で混むから、他の学年は遅れて行くの」
「そう。じゃあゆっくりできるわね」
そんなおばあちゃんの言葉を聞きながらみそ汁をすする。
(…おいしー)
いつもより30分ほどゆっくりし、制服に着替える。
髪のセットもいつもより入念にする。
―――ま、褒めてくれる人なんていないけど
それでも、先生に可愛く見られたいので頑張る。
「それじゃ、行ってくるね」
「はいはい。行ってらっしゃい」
おばあちゃんに見送られながら外に出るといつもより暑い日差しが出迎えていた。