せんせいのせなか






一瞬で目が見開く。



「せ、先生!」



少し声が大きくなった。

恥ずかしくて少しだけ目線を下げた。



「おう。香椎が遅刻とは珍しいな。しかも佐々礼と一緒ってのも」



笑ながら、先生はあたしと佐々礼くんの前に座った。


(さざれ…っていうのか、この人は)


改めて知り、横目でその佐々礼くんを見た。



「別に、たまたま」



頬杖をつきながら、佐々礼くんは静かに言った。


(よく見たらイケメンだな)


改めて思った。まぁあたしは先生しか見えていないので誰がイケメンだろうと関係ないんですけど。



「早く反省文書いちゃえよ。香椎も。部活遅れる気か?」

「お、遅れません。ちゃんと行きます!」



うん、よしよし。と嬉しそうに笑った先生は「じゃあ先生は、これから部活に行くので二人とも早く反省文書き終わらせるように」と、教師らしく言った。



「…あのさぁ、香椎って部活入ってんの」

「えっ、うん。まぁ」



ふーん、と佐々礼くんは顔をこちらに向けた。

オレンジ色の逆光で表情が見えにくかった。






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