せんせいのせなか
(始まりは、それこそ運命だと思った―――)
5月1日、17歳の誕生日を迎えた。
『おめでとう』の言葉は一緒に暮らしているおばあちゃんにしか言われていない。
ため息をつきながら、学校へ向かう。
ため息と同時に、イスに座る。
「香椎さーん…?」
「あ、…なに?かな…」
ふと聞こえた声は、同じクラスの女の子、鈴織さんだった。
ふわふわとした髪型が可愛い。
「あのさ、今度クラスの子たちで親睦会に行くんだけどー…」
「あ、そうなんだー…」
「香椎さん来る?」
「……!」
少し驚きつつ、固まる。
「あっ。やっぱ、嫌だよねー…。ごめん、香椎さん。また今度…!」
「え、いやっ、ちょっと…!」
まだ、何にも言ってないよ…!
待ってと追いかけた手は無惨なほど届かなかった。
せっかくの…高校生活初の友達を作るチャンスが…!
(1年の時は、もはや声さえもかけていただけなかった)