せんせいのせなか
「…あー、よお、生徒、さん」
「…何してるんですか?、」
汗を拭いながら問いかける。
ふいに、思い出す。
「…ああ!望月草汰…!」
「そうだけど、呼び捨てすんなっつの」
ニコリと笑いながら、望月草汰はあたしの頭をガッシリと掴んでぐしゃぐしゃにする。
「すいません」
今年着任してきたばっかりの先生…。
あまり興味が無くて顔を見てなかったけれど、よく見ればとても整った容姿だ。
「…あ、お前も流れ星でやって来た?」
「あ、はい。そう、です…。何か、光ったから…」
そう言いながらふと横をみると、崩れた望遠鏡があった。
(…壊れた?)
どうやら、小さく聞こえたガチャンッ、の音は望遠鏡が壊れた音だったらしい。
あたしの目線に気づいた先生は「ああ、」と話を進める。
「それ、さっき倉庫で見つけて運び出してきた。結構新しいんだぜー」
「…なのに、なんで崩れてるんですか」
「……流れ星見て、立ち上がったら…、な?」
分かるだろ、と言う顔で先生は苦笑いをした。