俺の席
健也の気持ち
「なんでだろぅ・・・」


鳴海が下を向いて小さくつぶやいた。
俺は聞き取れず、
「えっ?!」と聞き返してしまった。


「どうして、鳴海には勝てねぇんだろう。」


鳴海は不思議そうな顔で健也を見ていた。
もう、
いいよ。健也・・・。
お前はもう、
十分由井に気持ち伝わってるよ・・・
聞いてるのがだんだんつらくなってきた。



「どういう意味?」


鳴海が思わず聞き返していた。
俺は止めようと思ったが、
止めるのが間に合わなかった・・・。


「俺は鳴海に勝てない。絶対に・・・。」


うつむいていたが、








泣いているのが分かった。












「もういいよ、健也。」



やっと口が動いた。
そして、健也は教室のドアをあけ廊下にでた。


ーガラ

ドアをあけると由井茜がいた。

「あっ」


素通りしようと思ったが、
由井に「ねぇ」と呼びとめられた。
振り返ると同時に話し始めた。


「鳴海くんってさぁ、、、、」




顔を赤くしてうつむいた。


俺はこの瞬間なにが言いたいのかすぐに分かった。

< 15 / 34 >

この作品をシェア

pagetop