世界が廻って君と出逢う


「名前」
「ん?」
「いい加減教えてくれない?」「嫌じゃ」

コイツ、俺に名前を教えてくれようとしない。

別に知らなくてもインだけど、こうも毎日会ってるのに、名前を知らないなんて気味が悪い。

「お前こそ、我に名を名乗らぬじゃないか」
「俺には名前が無いって何回も言ってるじゃん」


俺には名前が無い。
そんなの、昔っから馴れっ子で、親にもこの歳まで呼ばれたことは一度もない。
『お前』とか『おい』とか。
必要以上のことは話さなかったし、俺もそれが普通だと思ってた。

だけど、ほかの奴らはちゃんと名前で呼ばれてる。
親も子も、皆幸せそうなのを見て、俺は人とは違うと気付いた。
それを初めて親に詰め寄ると、俺は捨てられた。


何が悪い。
俺は最初からいらない存在だったんだ。
意味も分からず親に捨てられた。
だったら最初から産むなよ。
いらないんだったら、産まれた瞬間殺せばよかったろ。

俺はいらない。
生きていても、この世には・・・イラナイ―――



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