cool prince
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学園の副会長
「行ってきまーす」
「いってらっしゃーい」
私の家族・立花家は、極々普通の家庭である。
お父さんは公務員、お母さんは主婦、お兄ちゃんは会社員。
そんな平凡が取り柄のような私は……
「おはようはる!」
「おはよー千紘、」
何と、運が良いのか悪いのか……
「あら、御機嫌よう。立花さん桐原さん」
「……御機嫌よう、」
「………おはよう」
あのお金持ち学校である、
───私立星華学園に入学することが出来た。
「……やっぱ、お嬢様は挨拶から違うねー」
「やだ、はる!皆が皆ああじゃないし」
「あ、そうなの?」
「当たり前じゃん!どこかに私みたいなお嬢様とは程遠いお嬢様も居るかもしんないし!」
「うーん…」
私の隣で口を開けて笑うこの子は、この学園で出会った一番の親友・桐原千紘。
千紘はお菓子会社の一人娘で超お嬢様、なんだけど…
ちっともお嬢様らしくないんだよね。
そこが好きだったりもするんだけど。
千紘は長い黒髪を鬱陶しそうに手で払い、「はる、早く教室行こ!」と言う。
「遅刻しちゃうねー」
「……お気楽な子」
「えー」
良くお気楽だとか、何も考えてなさそうだとか言われるけど……ちょっとショック。
そんな私を、千紘は引っ張りながら教室まで小走りで向かった。
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