cool prince
「んで?その子に用があるってわけか」
「ああ」
「何?『抱かせて下さい』って?」
「違ぇよ馬鹿が」
「いやーん陽ちゃん冷たーい!」
ドスッ
「う……タ、ンマ、」
「そんなに死にてぇかお前は」
「す、すんません…」
勇一郎の鳩尾を殴ると、勇一郎はその場に倒れこんでしまった。
全く……。
「着いたぞ」
「よっし、んじゃ開けるぞ!」
今更だが、周囲には人だかりが出来ていた。
……まあ、一年の校舎は滅多に来ないからな。
しかし、俺はそんなのに目も暮れず、1-Aの教室に入った。
「きゃー!勇一郎様と陽介様だわ!」
「王子ー!」
「相良様ー!」
……うるせぇ。
俺は早足で、教室の奥でぽかんと口を開けている立花はるの元へ向かった。
「……おい」
「………っ!は、い」
びくっと身体を揺らして、恐る恐る上目遣いで俺を見る。
………本当に、小動物みたいだ。
それに笑いそうになりながら、俺はポケットからハンカチを出す。
それを見た立花は、目を見開いた。
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