cool prince
「そ、それ…!」
「ああ。昨日は、助かった」
「い、いえ、こちらこそ、お節介ごめんなさい…です、」
しゅん、となりながら謝るその子は、まるでうさぎのようだった。
……垂れた耳が似合う。
プ、と少し吹き出しながら笑うと、不思議そうに首を傾げる立花。
………柄にもないが、可愛い、と思ってしまった。
「……放課後、何かあるか」
「いえ、何も…」
「礼がしたい」
「っ!そんな、良いです、ていうかそこまでさせて本当すいません…」
「言っとくが拒否権はねぇぞ」
「そんな、!」
「それじゃあ、放課後校門で」
俺達の会話を、周囲はしっかりと聞いていたようで。
「っきゃーーーーー!!!」
と、一気に女子達が騒ぎだした。
…早くここから出たい…!
「……勇一郎、」
「ん?ああ、用事済んだなら、行くぞ」
「ああ」
勇一郎は呑気に周囲に手を振りながら、俺の後を歩く。
俺は、立花にだけ視線をやり、そして前を向いた。
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