cool prince
そして女子の集団に手を振る勇一郎。
その集団は一斉に「きゃー!!」と盛り上がった。
……早くこの場から去りたい。
「あらあら、苛々してるのが顔に出てますよ」
「お前のせいだ」
「人のせいにしてやんの……。あ、はるちゃん!」
「っ!」
勇一郎の声に、昇降口を見る。
すると、立花がこっちへ走ってきているのが分かった。
………可愛い。
「ごめんなさい、待たせて…!」
「……いや、」
「そんなに待ってないよー!」
「っ!生徒、会長…?」
「きゃー!生王子だ!」
立花の隣に居た女子が、勇一郎の姿を見て騒ぎ出した。
……居たのか。
どうやら俺は立花しか見えていないらしい。
………俺、気持ち悪いな。
「どうも生王子です!てへっ!」
「やばい超格好良い!え、握手しちゃっても大丈夫ですか!?」
「大丈夫ですよ~」
「ありがとうございますっ…!」
「……会長は芸能人なんですか?」
「ぶっ…!」
立花の呟きに不覚にも笑ってしまった。
芸能人なわけねぇだろ…!
「あはは!はるちゃんって天然だね」
「馬鹿!その辺の芸能人より超格好良いし!」
「ありがとね!さ、そろそろお二人さん、いってらっしゃい」
「へ?」
「……行くぞ」
立花に声をかけると、立花は何が何だか分かっていない様子で俺に着いてきている。
………これからデートだって、気づいていないのか?
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