cool prince
「ここだ」
「……っ!え、こ、ここ、って……」
運転手がドアを開け、俺に続いてはるが降りる。
はるは口を開けたまま、目の前にある建物に釘付けだった。
「……ケーキは嫌いか?」
「大好きです!」
「良かった」
はるの嬉しそうな声にくすくす笑いながら、その建物の扉を開け、はるを中に入れる。
「凄い…!良い香りがします!」
「ここは俺のお気に入りのカフェなんだ」
「先輩、ケーキとか食べるんですね」
「……似合わない、とか言うんだろ」
「ふふっ。でも、可愛いと思います」
「っ!」
はるの柔らかな笑顔に、俺ははるを直視できなくなってしまい、不自然にはるから視線を逸らした。
やばいな俺……。どんどんはるにハマってる。
そんな俺の気持ちに気づくはずもないはるは、店内をぐるりと見渡しながら少しはしゃいでいた。
「はる、こっち」
「はいっ」
店の一番奥の、プライベートルームのような部屋へはるを連れていく。
そこは、特別な人しか入れないVIPルームでもある。
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