cool prince
「あれ、ここさっきと違いますね…」
「特別な会員制だからな、ここは」
「会員制……!もう何だか驚くことがありすぎです」
「はるは驚きすぎだ」
「…庶民ですから」
はは、と軽く笑うはる。
………俺は今まで、金持ちの家で育った女しか見た事がなかった。
いや、自然と庶民の事は視界から消していたのかもしれない。
それなのに、はるという庶民に出会って、俺はどうやらこの庶民に恋をしたらしい。
………好きになるのに、そんなのは全く関係がないんだな。
むしろ、今まで出会った人達よりも、断然はるの方が可愛くて綺麗だ。
純粋で無垢なはるに、惹かれているのは事実だった。
「はるから頼め」
「うーん………タルトとか、モンブランも良いけど……」
メニューを見ながらうんうん唸るはるに笑いがこみ上げ、俺は気づけば口角が上がっていた。
眉間に少しだけ皺を寄せながら、真剣にメニュー表を見つめるその瞳は大きくて、まるで猫のよう。
すぐに赤くなるその頬は柔らかそうで、今すぐにでも触れたくなる。
さらさらな栗色の髪に、細身の体型。
………悩む姿も、可愛い。
もう自分がおかしいことなんて気づいていたが、関係ない。
俺は、はるが好きなんだ。
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